2014 10Oct.

歴史散歩の村、ジェラブナ

ブルガリアには民族復興期(オスマントルコからの独立を目指していた時期)の建物を保存した歴史景観地区がいくつかあります。コプリフシュティツァやプロヴディフが有名ですが、よりひっそりとした、とても興味深い小さな村があります。バルカン山脈の中に隠れるようにあるジェラブナです。

牛や羊が草を食む丘を抜けて中心部に入っていくと、村人が数人、日陰でコーヒーを飲みながら世間話。早速そこにあったカフェに入ってこの村をどう見て回ればよいか尋ねてみました。カフェの店員さんが慣れた感じで村めぐりの方法を教えてくれたところを見ると、よく観光客が訪れているのでしょうね。

カフェを出て教えてもらったとおりに歩き始めました。道は何世紀も前のごろごろした石で作られた石畳。踏み進むとそのままその時代に行けてしまいそうです。と、一軒の家の門の扉が開き、中からひょこっと顔を出したおばあさんに「ドーバルデン(こんにちは)! あんた、観光かい?どこから?」と呼び止められました。

「日本人です」というと、「そうかい! 10年位前、まだウチの旦那が生きていて民宿をしていたとき日本人も何人も泊まってくれたよ。この家、見て行くかい?」と親切に招き入れてくれました。バラが咲き誇るよく手入れされたお庭。そして笑顔のステキなとてもかわいいおばあちゃん。丁重にお礼を言い先に進みました。チェシマ(水飲み場)の横にもおじいちゃん、おばあちゃんたちがいました。「ここの水はおいしいよ!! 飲んでごらん!」こういう優しさに触れると心が温まります。

家々のつくりはブルガリアのほかの歴史景観地区の建物と共通の部分も見られますが、より素朴で木のぬくもりを生かした感じがします。バスの便も少なく、宿泊施設も大きなホテルはなくゲストハウス(民宿)のみの小さな村。この環境が、静かで素朴な、おとぎ話に出てくるような、この村の良さを保つ秘訣なのかもしれませんね。


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