ブルガリアを含めたバルカン半島には紀元前の時代から文明が開けていたそうです。学校で必ず勉強する世界史。その昔、マケドニアのアレクサンドロス大王の支配下にあったのもこのあたり。さらにローマ帝国、オスマン・トルコ帝国による支配などなど、今思えばこの知識は単にテストのための一夜漬けでしかありませんでしたが、今、歴史が通り過ぎていったまさにその場所に住んでいるわけです。
しかし昔通り過ぎていった文明はいまだに現実問題です。首都ソフィア市内では、中心部の交通渋滞を緩和するために主要道路を工事していますが、工事を始めるとすぐに古代の遺跡を掘り当ててしまいます。ロボフ・モスト(ライオン橋)という市の一番の目抜き通りにかかる橋。ここは昔から度々橋が架け替えられていたそうですが、ひとたび貴重な遺跡が出てきてしまうと工事は一旦中止せざるをえません。
地下鉄工事も然り。駅を作ったあたりがちょうど古代都市「セルディカ」の中心部だったこともあり、あまりにいろいろ発掘されるので、地下鉄が完成した後、駅のホームに発掘物の展示をはじめたほどです。
また、海沿いの町ブルガスでは、温泉施設を改築しようとしたらこれまたローマ時代の温泉の遺跡が出てきてしまい、改築工事は中断されてしまって温泉に入れないままになってしまっています。工事は進まないし遺跡は保存しなければならない・・・ 財政難を抱える地方自治体にとってこれはちょっと大変です。
発掘された遺跡を見ながら、「昔の人はここでどのように暮らしていたのだろう」と思いをはせる・・・ロマンを感じます。 その一方で、「ソフィア市内の道路工事はできるだけ早く終わらせてほしい」と思ってしまうのは私だけでしょうか?