ブルガリアでは秋はキャベツの季節です。秋に出回るキャベツはやわらかくて水分が多くとてもおいしいです。千切りにして、パセリなどのみじん切りを加え軽く塩もみして食べやすくし、サラダ油と酢を混ぜて供される「ゼレヴァ・サラタ」(「キャベツのサラダ」という意味)にすると、山盛りキャベツがたっぷりおいしく食べられます。
そしてこの季節には街角の道端に山のようにキャベツが積まれ、主婦たちはそこから何キロもキャベツを買い込み「キセロ・ゼレ」という漬物を作ります。大きな樽にキャベツを塩水で数週間漬け込むだけで出来上がりです。さすがヨーグルトの国だからか、出来上がったキセロ・ゼレをそのままで食べてみると、塩水だけで漬けたのに乳酸菌が働いているようで、きちんと発酵していてびっくりします。日本人の私はこれを刻んでちょっとしょうゆとおかかをかけ、ホカホカの白いご飯と頂くのですが、これがとても合います。
ブルガリア人はこの漬かったキャベツを刻んでサラダ油とパプリカ粉をかけ、副菜としてパンと食べます。さらに漬け汁も無駄にしません。調味料として使ったりスープのベースにしたりするのは日本人でも想像がつきますが、それだけでなくこちらではそのまま飲んじゃう!特に赤キャベツの漬物のきれいな薄紫色の漬け汁が、コップや瓶に入ってテーブルに置かれていると、フルーツジュースと間違って飲んでしょっぱいのでびっくり!!ということがブルガリアに来てすぐのころに何度もありました。ただこの漬け汁、ビタミンが豊富で整腸にとても効果があるんだそうですよ。
この漬物キャベツ料理の真骨頂は、加熱調理した時に出ると思います。お米を包んでロールキャベツにしたり、鶏肉や豚肉とオーブンで仕上げる料理はとても美味です。発酵食品の大好きな日本人好みの食べ方と言えるかもしれません。オーブンでこのキセロ・ゼレを調理する家が近所にあると、おいしい香りがそのあたりにふわーっと広がります。ああ、今日は私もキセロ・ゼレを使って料理しようかしら。