日本ではあまり知られていませんが、ブルガリアは古くからワインの生産が盛んなワイン大国です。私は日本に一時帰国をしたとき、以前は日本でブルガリアワインを見かけることは少なかったのですが、ここ数年は日本でもいろいろな種類のブルガリアワインを目にする機会が増えました。
そんな中、最近、日本で一番売れているブルガリアワインは「ロゴダジ」(Логодаж, Logodazh)だということを知りました。ロゴダジのワイナリーがあるロゴダジ村はブルガリアの南西部に位置しますが、実は私が住んでいるところから約15キロしか離れていません。
こんな近くに日本とつながっているワイナリーがあるなんてと驚き、ロゴダジワインのオーナーに連絡をとってみました。日本に8年ほど前から輸出しており、また親日家であるオーナーの好意で、工場見学をさせてもらえることになりました。
ロゴダジ村は、現在は300人弱の小さな村で、隣にこの村の名前からとった貯水湖もあります。ロゴダジワインのオーナーの祖父母はこの村の出身で、その祖父母から受け継いだ土地で20年ほど前からワイナリーをはじめ、村の名前をワインにつけたそうです。(英語表記ではLogodaj)
この村は共産党時代、政府に「サンケ リヴィシコヴォ」(Санке Ливичково, Sanke Livishikovo)という名前に変えられてしまいましたが、1993年に元の歴史的な名前に戻されました。勝手に名前を変えられてしまった過去があるため、村民たちはロゴダジという名前に戻ったことを喜んでいるようです。
工場見学をさせていただいたときは、ちょうどブドウの収穫が終わり、ブドウを発酵させるタンクにすべてのブドウが入っている状態でした。白ワインやロゼは、12月下旬から1月上旬にかけて売りだし、赤ワインは来年の夏に発売されます。ロゴダジのワインは現在までに国内外で賞をとり、13か国に輸出されています。日本に向けては2014年からこれまで、およそ200万本が輸出されたそうです。
ブルガリアでは、自宅でワインを作り、できたワインを1年かけて飲み切るというのが慣習です。ただ日本人は熟成したワインを好む傾向があるので、このワイナリーでは3、4年前に作られたワインを日本向けに輸出し、ブルガリアの市場では若いワインを出荷しているそうです。出来立てのワインの方がフレッシュで渋みが少なく飲みやすいので、将来は日本で若いワインが味わえるようになってほしいです。味が濃いブルガリアの料理によく合うのですが、しょうゆ味がきいている日本料理にもぴったりだと私は勝手に思っています。