ヨーロッパの多くの場所がそうであるように、ブルガリアの主食はパンです。こちらの夏は乾燥している上にカーッと暑くなりますが、そんな暑い夏でもパンを食べないと食事をした気がしないブルガリア人。皆慣れているから平気なのかなあ、と思っていましたが、尋ねてみるとやはり日本人同様「夏は食欲が落ちる」そうです。じゃあどんな食事で夏を乗り切っているの?
女性たちに聞くと、「とにかく料理したくない」と言います。ブルガリア人は家でよくオーブン料理や具材をコトコト煮たスープを作りますが、これを真夏の狭いキッチンで行うとサウナ状態になり汗だくになってかえってバテてしまいそう。そのため、生活に少しゆとりのある人は外食の頻度が上がります。サマータイムのこの時期、夜9時を過ぎても明るいので、少し涼しくなってから散歩がてら出掛けているようです。
手軽に家で食事したい、そんなときは涼しくなれるパンの友をつくります。外せないのが「タラトール」。ヨーグルトにきゅうりのみじん切り、にんにく少々とオイル、ディルなどで仕上げた冷製スープです。火を使わないメニューなので暑くならないし、身体に優しいのにオイルとにんにくでスタミナもばっちり、そしておいしいんですよ。またブルガリア女子に人気なのはフルーツとパンと、塩味の白チーズ「シレネ」のコンビネーションです。この場合、一番人気のフルーツはすいかです。日本人はどんなに暑くても「ご飯にすいか」なんて食事はしないので、ちょっと面白いですね。
男子には、ビールと「キョフテ」「ケバプチェ」という肉汁たっぷりのひき肉グリル料理や、切るだけですぐに食べられるサラミなどの加工肉食品が大人気です。こちらのビールは2リットルや2.5リットル入りのペットボトルで、しかも日本人には信じられない程安いので、外のベンチでご近所さんたちとビールを飲みながら夏の休暇をどうするか、なんてにぎやかに話しているところをよく見かけます。暑い夏でもしっかり食べて、夏バテしないように工夫しているんですね。