ベズボグ(Безбог, Bezbog)という場所の名前を初めて聞いたとき、私の脳内では「神がいない」という日本語に直訳され、いったいどういう場所なのかとても興味が湧きました。ベズボグというのはブルガリアにある山の名前です。この山はスキー場としても整備され、リフトで楽に行けるという評判を聞き、友人たちと散策気分で訪れました。
名前の由来は諸説あり、有名なものが2つあります。1つ目は、ある神の美しい娘に恋をした神「ベス」(Бес, Bes)が、その美しい娘の兄弟に殺され埋められた場所であるという伝説があります。2つ目は、オスマン帝国支配時代に「バシ・バズーク」(Башибозук, Bashi-bazouk)と呼ばれる軍隊に、イスラム教に改宗するように強制されたが拒否したため、ブルガリア人が虐殺された場所と言われています。風光明媚な場所ですが、どちらの説にしても血が流れているので、このような名前が付けられたのではないかと思いました。
ベズボグという山へは車とリフトで登れます。有名な観光地であるバンスコの隣の小さな町ドブリニシュテ(Добринище, Dobrinishte)から、車で約12キロ登ると山小屋があり、その山小屋・ゴツェ・デルチェフ(Гоце Делчев, Gotse Delchev)からリフトに乗ることができます。途中一回リフトの乗り換えがあり、全長3245メートルで片道30分かかります。最終地点は海抜2227メートルで、終点の山小屋・ベズボグまで一気に登ります。
この日は山に初雪が降る寒さで、ベズボグの山頂(2645メートル)は雲で覆われていたため登頂は諦めました。山小屋・ベズボグの周りには湖があり、その周辺を散策するだけでもとても楽しめました。
山小屋・ベズボグは、暖かいご飯を食べるところや泊まるところも完備されていて、服装さえ適切であれば身軽に遊びにいける山のレジャー施設でした。