「テスノリネイカ」(Теснолинейка, tesnolineyka)と呼ばれる鉄道がブルガリアにあり、とてもきれいな景色がみられるという話は私の周りで有名でした。それまで私は、これを鉄道の名前だと勘違いしていたのですが、日本語で「狭軌(きょうき)鉄道」と訳すそうで、線路幅が狭い鉄道のことです。このような鉄道は日本でも数少なくなっているそうで、ブルガリアでも760mm幅の線路がこの路線ひとつだけ残っています。
テスノリネイカは、セプテンブリ(Септември, Septembri)–ドブリニシュテ(Добринище, Dobrinishte)というブルガリア南西部の2つの街の間、125kmを走っています。この狭軌鉄道は観光客だけでなく、地元民の足としても使われていています。
今回は温泉で有名なヴェリングラド(Велинград, Velingrad)という街にあるヴェリングラド駅からこの鉄道に乗車し、往復チケットでアブラモヴォ(Аврамово, Avramovo)駅まで遊びに行ってきました。
アブラモヴォ駅はバルカン半島で一番高いところにある駅で、海抜1267mに位置しています。この駅から山登りに行く客も多くいます。リラ山脈とロドピ山脈の間を走っているので標高が高く、ジグザグと山道を登っていくのは面白いです。途中、車道と線路が並んでおり、車と並走して走ることもあります。冬の間は暖かい車内から雪景色を楽しむことができ、また特別な日には、蒸気機関車を走らせるイベントも行っています。私が行ったときは、緑が美しい季節を楽しむことができました。
この鉄道はゆっくり走ることで有名で、ブルガリアの小話によると「先頭の車両から外の花を見つけて降り、その花を摘んで車両に戻ろうとすれば、最後尾の車両に戻ることができる」というものです。実際にはそこまではゆっくりではなかったですが、時間に余裕があるのなら、のんびりブルガリアの田舎の景色が楽しめるこの鉄道にぜひ乗車してみてください!