ブルガリアは日本に比べて、店頭で手に入るお菓子の種類は少ないのですが、ただ日本よりもバリエーションが多いなと思うのが、チョコレートです。スーパーでは、チョコレートの粒が入った箱が棚にずらっと並んでいます。ブルガリアのメーカーだけでなく、ほかのヨーロッパ諸国のチョコレートも売られています。チョコレートの中にナッツや甘いフルーツのソース、リキュールなどが入っているものもあります。
チョコレートだけ特に種類が多い理由は、ブルガリアのある習慣が関係しています。何か良いことがあるときに、必ず登場するからです。来客があると、お客様に箱の中の粒チョコレートを一粒とることを勧めます。家にはいつも箱チョコレートが常備してあるため、突然の来客があっても安心です。
また、ブルガリアには「イメンデン」と呼ばれる名前の日があります。キリスト教の聖人に由来する名前を持っている人が、自分の誕生日同様にお祝いされる日です。誕生日やイメンデンがあると、箱を持ちながら友人の間をまわります。友人たちはチョコレートをもらいながら、「おめでとう!」というお祝いの言葉や健康などを祈る言葉をかけてあげるのがお決まりです。家族のお祝い事、例えば結婚・出産、入学卒業などのときにもチョコレートを配り、お祝いします。
私はチョコレートがあまり得意ではないので、その場はチョコレートをいただき、お祝いの言葉をかけた後、他の人へ。このシチュエーションでチョコレートを断るのはとても難しいので、食べなくてももらっておくのが一番いいと思います。
ホームパーティーにお呼ばれしたときには、このような箱チョコレートや板チョコを手土産として持参することもあります。日本ではバレンタインの季節になると多くのチョコレートが店頭で販売されますが、ブルガリアではハートの形のチョコレートが少し店に並ぶだけで、あまり盛り上がるイベントではありません。ブルガリアでは、うれしいことやお祝いごとがあるたびにチョコレートが喜ばれるのであり、バレンタインの時期だからと言って、このときだけチョコレートをプレゼントするわけではないからです。