ブルガリアの北西部にある「マグラ(Магура, Magura)」という洞窟は観光地であるとともに、考古学的にも非常に重要な場所です。それは、旧石器時代の壁画が残っているからです。狩りや人が踊っている様子などの日常が描かれている部屋があり、この時代の人々の生活がうかがえます。残念ながら、現在は壁画保護の観点から、その部屋の公開は中止されています。全体的に床がとても滑りやすかったり、階段が多かったりと歩くのが大変ですが、全長約2500メートルの地下を夏の猛暑の中、涼しく散策することができます。
ツアーは1時間に1回で、ツアーガイドと一緒に入った入口とは異なる場所から退出します。地上に出ると、ブルガリア語で「ラビシュコ エゼロ(Рабишко езеро, Rabishko ezero)」と呼ばれる湖を見ることもできました。また、洞窟の入口近くにはワイナリーもあり、洞窟内で熟成させた高品質なスパークリングワインが有名です。
そして、マグラ洞窟から1時間弱離れたところにある「ヴェネツァ(Венеца, Venetsa)」という洞窟も興味深い場所でした。ブルガリア北西部に位置する古城で文化的・歴史的観光地でもあるベログラトチク要塞(詳細は先月のコラム)から見えていたテレビ塔のちょうど真裏にあります。私が訪れた土曜日は「パナイル(Панаир, Panair)」という催しが行われていました。パナイルとは、屋台やマーケット、民族衣装をきた人たちが踊ったり歌ったりするためのステージがあり、日本でいう「お祭り」のようなものです。
ヴェネツァ洞窟に入るときは、全員にヘルメットが配られます。洞窟内はとても狭く、気を付けていても頭をぶつけてしまうことがありました。ヘルメットを被っていてよかったです。また、洞窟内はさまざまな色でライトアップされており、彩られた結晶や鍾乳石が目を楽しませてくれました。サンゴ礁のような形の岩もあり、まるで海の中のようで幻想的でした。
距離が近いにもかかわらず、異なった魅力のあるマグラ洞窟とヴェネツァ洞窟。一日でたっぷりと楽しむことができました。