ブルガリア人の多くは、都市と田舎の両方に家を持っています。
普段、都市に住んでいる人は夏の時期になると田舎へ帰り、野菜や果物を育てる事に忙しくなります。私はその恩恵にあずかり、毎年知り合いからたくさんの旬の食べ物をお裾分けしてもらいます。これらの食べ物は、お店で売っているものよりもおいしく感じます。
ブルガリア共和国は民主主義の国ですが、1946年から1990年まで共産主義でした。今でも至る所にその頃の影響が残っています。その一つが、田舎の家と畑で、共産党時代は、すべての家族に都市のアパートと、田舎に土地が与えられていました。今でもその両方を持っている人が多く、その頃からの習慣で、週末は田舎で過ごすのです。
ブルガリア語で、田舎の家や畑を「セロ」と呼びます。
今回は、友人の「セロ」へお邪魔しました。友人の「セロ」の土地は、共産党時代の前から先祖が持っているものです。以前は、そこに村があって人が住んでいましたが、共産党時代の都市開発により、より便利な場所に強制的に家を移動させられました。その結果、今は水も電気も通っておらず、誰も住んでいる人はいません。また若い人の中には、セロに行く時間がない、畑はいらないという人も多く、今回訪れた「セロ」には、放置された家や畑なども見られ残念でした。
友人の「セロ」は比較的に都市に近い場所にあるので、週末だけでなく平日にも通うことができます。今の時期はキュウリやトマト、ズッキーニ、ピーマンなどの野菜や、スイカ、メロン、ラズベリー、リンゴなどの果物が所狭しと植えられています。また、持っている土地の半分はブドウが植えられています。ブルガリア伝統の蒸留酒、「ラキア」を作るためです。ブルガリアでは、家庭でワインや「ラキア」を作り楽しんでいます。
日本で見たことのある畑は比較的、整然と植えられている印象なのでブルガリアの畑を見たときは、最初どこに畑があるかわかりませんでした。なぜかというと、果物が鈴なりにぶら下がっているかと思えば、畑の真ん中に木が植えられていたりと雑然とした印象だったからです。もし、ブルガリアのセロを訪れる機会があれば、畑を探してみると面白いかもしれません。