多くの国々で愛されているヨーグルト。世界中の人々は、どんな風にヨーグルトを楽しんでいるのでしょう。このコーナーでは、ヨーグルトを使った正統派の料理から、リアルな家庭料理のアレンジまで、さまざまな国の方に取材。
ヨーグルト料理とヨーグルトにまつわるお話を紹介していただきます!
第108回目はエジプト。アフリカ大陸の北東部に位置し、国土の北側は地中海、東側は紅海に面している国です。今回はエジプト出身のサーラさんに、ヨーグルトを使った伝統的なスープを教えていただきました。
ベリーダンスを習っています。世界の歴史や食文化にも興味があり、特に病気を予防する薬膳料理を研究するのが好きです。
私の両親は1970年代にエジプトからクウェートに移り住みました。石油産業で栄えていたクウェートは、当時、エジプトを含むさまざまなアラブ諸国から、職業スキルを持つあらゆる専門家を求めていました。私の父は電気技師で母は看護師だったので、エジプトの多くの家族と同様に、より良い未来を求めてクウェートの成長するコミュニティに貢献したいと考えて移り住んだのです。
そして、私は幼いころから日本文化に興味を持っていました。きっかけはテレビアニメの『ちびまる子ちゃん』です。日本とアラブ文化には、伝統や家族の価値観を大切にする共通点があると感じていて、親近感を覚えました。日本に心のつながりを感じるようになり、いつか日本に住みたいとずっと思っていたんです。日本に来てまだ1年ほどですが、真っ先に、ちびまる子ちゃんの舞台である静岡県に行ってきましたよ(笑)。
エジプトの気候は多様で、地中海沿岸の北部は穏やかな気候で過ごしやすく、南部は乾燥して暑いです。ナイル川の周りは緑豊かで農作物がとれますが、そのほかの地域は砂漠です。そのためエジプトの人口の約9割は、ナイル川の周りに集中しています。
エジプトはアフリカとアジアの間に位置し、古くから多文化が交わる地だったので、食文化もさまざまです。北部では米と小麦がバランスよく消費されていますが、南部では小麦の方が一般的です。特にレンズ豆のような豆類は古代からの主食でした。クミンやニンニクなどのスパイスやハーブも重要です。肉もよく食べますが、豆類の人気が根強いです。
地中海地方では、魚介料理がよく食べられています。北部のエジプトではナイル川の魚が食生活の重要な部分を占めています。この伝統は古代から続いていて、調理法は北部と南部で大きく異なります。また、エジプトはマンゴーなどの果物の産地でもあり、その品質は世界最高と言われるほどです。
乳製品はエジプト料理に欠かせない存在です。エジプト人は牛乳やチーズ、ヨーグルト、バター、ギー(無塩バターから水分やタンパク質を取り除いた油)を日常的に消費します。エジプトのチーズ作りは古代にさかのぼり、新鮮なものから発酵させたものまで、さまざまな種類があります。エジプトでは水牛も多く飼育しており、水牛の乳で作ったチーズが特に人気です。
ヨーグルトは、牛乳や水牛の乳から作られたプレーンヨーグルトを毎日食べますし、料理にもよく使います。例えばラマダン(イスラム教徒の断食の月)中は、ヨーグルトを使った副菜を食べるんです。消化を助け、喉の渇きを和らげて爽やかにするからです。
エジプトでは、古代から続く「フィシーフ」という発酵させた魚の伝統料理があります。毎年4月の春分の日を祝うための料理の一つです。日本の発酵魚と非常に似ており、味や香りの面では「酒盗」に近いです。
小麦粉とヨーグルトを組み合わせた伝統的なスープで、カイロから北部の地方でよく食べられています。おばあちゃんが愛情込めてコトコト煮込むようなイメージで、家族の集まりや特別な日に楽しむ、心安らぐ料理です。温かいスープとしてはもちろんのこと、夏は冷蔵庫で冷やしてもおいしいですよ。
明治ブルガリアヨーグルト
LB81プレーン
200g
小麦粉
30g
※米粉またはコーンスターチでも可
牛乳
125ml
玉ねぎのみじん切り
150g
バター
30g
※ギーまたは油でも可
チキンスープ
250ml
※顆粒の鶏がらスープの素でも可
塩
適量
こしょう
適量
※米は入れなくてもOK
米
50g
水
100ml
ボウルにヨーグルト、小麦粉、牛乳を入れて混ぜる。なめらかになったら、15〜20分ほどおく。
洗った米を鍋に入れ、水を加えて芯が少し残るくらいまで煮たら、余分な水分を切ってボウルなどに入れておく(冷やご飯でも代用可能)。
鍋にバターを入れて中火で熱し、玉ねぎを加えてじっくり炒める(焦げると苦みがでるので注意)。カリカリになったら火を止め、半分の量を最後の盛り付け用に取り分けておく。
3の鍋にチキンスープを加えて沸騰させ、1を少しずつ加えて、固まらないようにかき混ぜる。2を加えてよく混ぜ、弱火でクリーミーな状態になるまで煮込む。
塩、こしょうで味を調え、火からおろして大きめの深皿に注ぎ、3で取り分けておいた玉ねぎを上に散らせて出来上がり!
とろっとしていてコクがあり、簡単な材料で作れるとは思えないほど、ぜいたくな味わいで驚きました。お米は入れなくてもおいしいですが、入れればさらに満足感が増します。冷やご飯でも代用できますので、ぜひお試しください。
(by記者)
サーラさん、ありがとうございました!
世界のヨーグルト料理、次回もお楽しみに!