お金はないけど何か楽しいイベントを、といったときにブルガリア人の友人たちは「ピクニックしよう!」と言います。「いいピクニックスポットがあるよ」とか「山に行っていい空気を吸いに行こう」と気軽に誘い合って皆で出かけます。
ピクニックにぴったりのお気に入りスポットがそれぞれにあり、近所の大きな公園の東屋(庭園などにある四方の柱と屋根だけの休息所)や、ソフィアっ子たちの心のふるさとヴィトシャ山のヒジャ(山小屋)など、施設がある場所だけでなく、きれいな草原や渓谷、湖畔などでも使い古しの毛布やキリム(じゅうたん)を敷いて、そこで食べ物を並べてピクニックをはじめます。
そういうピクニックはとってもアバウト。道すがら食料品店でパンとシレネ(白チーズ)、庶民の味のソーセージ「クレンビルシ」、あとビールなどの飲み物とプラスチックの食器を調達すればOK。でも店を出たところで「あっ、コップとフォーク、忘れた!」と慌ててお店に戻ったり。日本人の私から見ると「そんなにざっくりした計画で大丈夫?」とさえ思えますが、これが何とかなるんですよ。いつもの食べ物も美しい自然、きれいな空気、気の合う仲間と一緒という条件がそろえば一味も二味もおいしく感じられます。
もう少し大規模なピクニックでは一人一人が何かを持ち寄るのですが、それぞれが料理自慢の女性たちなのですごくぜいたくなピクニックランチになることもしばしばです。皆が集まったらおしゃべり、サッカーもお楽しみの一つですが、やっぱり「ホロ」つまりフォークロア・ダンスで盛り上がります。必ず誰かがラジカセを持ってきていて、一通り食事が終わるとどこからともなく踊りの輪が始まります。
細かいことを前もって決めて行なうピクニックもいいけれど、ブルガリア式に肩ひじ張らず、ちょっと行き当たりばったりのハプニング付きピクニックも、皆で大笑いして終われて楽しいですよ。