ふと見ると、果樹園やお庭の木だけでなく街路樹にも、たわわに実る果物たち。我が家の周りにも、スモモの一種「ジャンキ」、洋梨、リンゴがたくさん実り取り放題ですが、みんな見向きもしないので、熟れたものが道にぼとぼと落ちています。そしてこれからの時期は「デュラ」という、カリンに似た大きな実もたくさん実ります。
また市場に行くと、熱い太陽の光のおかげで、甘く熟れた果物がたくさん並んでいます。桃、ネクタリン、プルーン・・・どれも日本と比較すると破格のお値段です。家族で何キロも買っていく人たちがいますが、腐る前に食べきるのは大変ではないか、これを果物の少ない冬のためにとっておけたらいいのに、とだれもが思うはず・・・
そう考えた主婦の知恵が、「コンポート」、「コンフィチュール」そして「マルマラッド」にしてビンに詰め、地下室や物置で保存するというものです。コンポートは日本でもおなじみのシロップ漬けです。コンフィチュール、マルマラッドは日本で言うところのジャムのこと。砂糖を入れて少しずつ煮詰めるのでコンポートより手間がかかりますが、後々パンやクレープに塗るなど使い道は広がります。
友人に、このビン詰め作業を見せてくれるように頼むと、「妻は出かけているから、ボクが作って見せてあげるよ!こだわりなんて何もないんだから!近所で安売りになっている果物もあるし」と旦那さんがビン、大きな鍋、そして電熱線で直接お湯を沸かすブルゾヴァルという道具を出してきて、コンフィチュールづくりを見せてくれました。中身の入ったビンをそのまま大鍋で煮るという、とても大胆な作り方でした。
この時期、各スーパーではジャムやシロップ漬けのために砂糖をセールで提供するので、人々はショッピングカートいっぱいに砂糖を購入していきます。あまりに売れすぎて、あっという間に山積みの砂糖が売り切れてしまいます。もうすぐ来る寒い季節でも、ビンのふたを開けると陽の光を浴びて甘く仕上がったフルーツを楽しめる・・・そうやって長い冬を切り抜けるというのも、ブルガリアのライフスタイルと言えそうです。