ブルガリア中、どこの町でも売られている「バニッツァ」は、コリ(Кори・kori)と呼ばれる薄い生地にシレネ(Сирене・sirene)と呼ばれる白いチーズを包み、オーブンで焼いたキッシュの様なパイです。これを苦手だと言うブルガリア人には会ったことがないくらい、国民に愛されているソウルフードのひとつです。
同じバニッツァでも、お店で売っているものと家で作るものでは、見た目がまったく異なることがあります。バニッツァで大事なのは、中にシレネが入っていることです。
お店で買うバニッツァは、必ずバニッツァ用のコリを使い、中にシレネなどを入れて巻いて焼いてあります。このコリは、紙のように薄いパイ生地で、春巻きの皮よりも薄いです。お店で売られているようなバニッツァを家で作るには、コリを何枚か重ね、シレネを巻いて、並べて……という作業を繰り返して容器に詰めていきます。この方法は時間がかかるので、現代のブルガリア人はより簡単にできるレシピを徐々に開発しています。
今回教えてもらったレシピは、友人宅でよくごちそうになった、炭酸水を使った柔らかいバニッツァです。先にコリだけをクルクルと巻いて耐熱容器に並べ、シレネをコリの間に入れるように加え、他の材料すべてを混ぜて一気に上から注ぐという、簡単・時短調理法です。シレネ以外に、卵、サラダ油、ヨーグルト、バター、炭酸水を使います。少しの炭酸水のおかげで食感がとても柔らかくなります。
また、“不精”な方法で作るバニッツァも教えていただきました。こちらは、扱うのが大変なコリさえも使わず、材料のシレネ、小麦粉、卵、サラダ油、ヨーグルト、重曹を全部混ぜて、オーブンで焼くだけなのでもっと簡単です。
シレネとヨーグルトが入っていてオーブンで焼けば、もうなんでもバニッツァではないかと思ってしまいますが、すべて本当においしいです! これらのさまざまな形のバニッツァは、ブルガリアの人々がどれだけバニッツァ愛があるかを示しているのではないかと思います。