年末年始は祝祭日が目白押しなのはブルガリアも例外ではないのですが、12月6日の魚を食べる日「ニコルデン」から、1月7日のキリストに洗礼を施した聖ヨハネのネームデー「イヴァノフデン」までお祭り気分が続き、日本と違ってここまでがクリスマスでここからが新年の祝祭という区切りがはっきりしません。ブルガリア語で「エルハ」というクリスマスツリーや街のネオンも、新年を過ぎても1月中は飾られたままです。
出稼ぎに行った人たちや外資系スーパーの人目をひくコマーシャルの影響か、2016年はここでも「ブラックフライデー」という言葉がよく聞かれました。また、ドイツの「シュトレン」やイタリアの「パネトーネ」(クリスマス特有の菓子パン)が新年までスーパーに並んでいるのを見たり、ソフィア市中心部で開かれるドイツのクリスマスバザールで「グリューワイン」を飲んだりすると、アメリカや西ヨーロッパの方式がこの東欧の一番隅の国まで来ているのを感じます。
それでもブルガリア伝統の行事もまだまだ健在です。「スルヴァクニッツァ」という、日本のふとんたたきに飾りを付けたようなものを人々はこぞって買い求めます。これは邪気を払うため、新年に家族同士で背中を叩くものなんだそうです。また祝祭には欠かせない「ピトカ」(手作りの大きなパン)の中にコインなどを入れ、新年の運気を占うんだとか。ちなみにこの時期のごちそうは豚肉です。ブルガリア語でクリスマスの事を「コレダ」と言うのですが、これはこの時期のごちそうのために庭で飼っていたブタを屠殺する(ブルガリア語で「コリ」する)ことから来ているんだそうです。ブルガリアの豚肉は、脂がのっていてやわらかくてとてもおいしいですよ。
12月24日の晩と新年のカウントダウンは、とても寝られません。なぜなら、お祝いと厄払いの花火や爆竹が鳴り響くからです。そして殿方たちはウォッカやラキア(発酵させた果実から作られる蒸留酒で、アルコール度数は約40%!)で乾杯し、夜通し飲み明かします。一人一本空けてしまう勢いです。1月2日からはあらゆるものが通常営業するので、二日酔いの人も多いと思います。こうしてブルガリアの新年が明けるのです。