ブルガリアの伝統衣装「Носия」(nociya・ノシヤ)とよばれる服は、街によって少しずつデザインが変わります。今私が住んでいるブラゴエフグラッド地方はどのようなデザインの衣装なのか、今回ブルガリア人の友人から教えてもらいました。衣装に施されたブルガリア刺しゅうが、見分け方のコツの一つだそうです。
「Шевица」(shevitsa・シェヴィッツァ)とは、ブリガリアの国中で行われている刺しゅうの技法で、とてもきれいな伝統的モチーフが施されています。伝統衣装はもちろん、さまざまなところで装飾として使われています。モチーフは、花や葉など自然界からインスピレーションを得てデザインされています。緑は夏、秋は黄色など、季節を表すために違う色の刺しゅう糸を使います。
ブルガリアの中でも南西に位置するブラゴエフグラッド地方では、赤い刺しゅうをふんだんに使います。この地方の人が水色やオレンジを使った刺しゅうを見ると、自分たちの地方のデザインではないとすぐわかるそうです。また、ピリン山脈とリラ山脈に挟まれた地形も関係しているのか、そこに群生している針葉樹林をモチーフにしたデザインが多いそうです。木が枝分かれしていく様子が刺しゅうによって描かれています。
中央ブルガリアでは、ブラゴエフグラッド地方よりもさらにカラフルな刺しゅう糸が使われています。丸い形のデザインは北の地方でよく使われるそうです。
ここまで勉強しても、さっぱり違いが判らない私に、友人がブラゴエフグラッド地方の衣装ならではの特徴を教えてくれました。女性の伝統衣装「ノシヤ」の一番下に着るワンピース丈のブラウスには刺しゅうやレースが施されているのですが、エプロンの丈が少し短めで、刺しゅうやレースがしっかり見えているのが特徴の一つだそうです。
しかし、これらの特徴を踏まえて、オンラインで伝統衣装の地方当てクイズをしても全く当たらず、匙を投げられてしまいました。伝統衣装なんて着たことがないと言っている若いブルガリア人にも負けてしまい、小さい頃からブルガリア人として自然と目を肥やしているのだと感じました。