もし皆さんが、ブルガリア人のお家に招待されて「辛い物は好きですか?」と聞かれたら、気を付けてください。「好き」と答えると、ほぼ100パーセントの確率で、「リュティ・チュシュキ(люти чушки)」の瓶詰が出て来るでしょう。これはいろいろな種類の唐辛子を酢漬けにしたもので、ブルガリア人は大好きです。種がついている部分が一番辛いので、そのまま丸かじりをするときは、茎の部分を持って少しずつかじりながら食べます。
ソフトな辛さから激辛まで、さまざまなレベルがあり、どれくらいの辛さかを聞いてから食べないと怖いです。この唐辛子の酢漬けは、冬に食べることが多く、日本でいうご飯のお供のような感じで、ブルガリア人は一般的にはパンと一緒に食べます。口の中に入れると、針を刺したようにピリピリした痛みを感じ、その後、体中がポカポカします。ぜひお水と一緒に、一度はトライしてみてください。
ブルガリアの唐辛子は、大きさも色もさまざまです。ほとんどの種類は、そのまま酢漬けにして食べるので、より辛く感じます。私は料理に使ったほうが、味がマイルドになると感じました。私は以前、ピーマンと間違えて唐辛子を買ってしまったことがあります。スーパーの売り場にはとても多くの唐辛子が並んでいて、私は緑色の小さいピーマンだと勘違いしてしまったのです。それくらいブルガリアでは唐辛子の種類が多いです。
日本人にも馴染み深い鷹の爪。市場には100個くらい連なった半生状態のものが売られています。自宅でも茎の部分を糸でつなげて吊るしておき、徐々に乾燥させながら、必要な分を取って料理に使います。
日本の薬味にはわさびやからしなどがありますが、ブルガリアでは、マスタードが一番使われています。ブルガリアに来た当初、私はブルガリア人がピザにマスタードをかけているのを目撃してショックを受けたことがあります。味が足りないと感じたときに、ケチャップとマスタードをかけるのがブルガリア流だそうです。ブルガリアではマスタードのことを、「ゴルチッツァ(горчица・gorchitsa)」と呼びます。私はこれを、「苦い」を意味する「ゴルチヴォ(горчиво・Gorichiv)」からきている食べ物だと思い、スーパーに並ぶ「黄色くて苦いペーストは何だろう?」と、怖くて手が出ませんでした。実際は、日本のからしよりも辛くないマスタードで、酸味と甘みが強い味でした。