ブルガリア語でクリスマスのことを「コレダ」と言います。この言葉の発音は別の意味の「屠殺する」という語「コリャ」と発音がよく似ています。このクリスマスの時期、ブルガリアの田舎の家々の庭で飼われていた豚が屠殺され、1年で一番のごちそうになるシーズンでもあります。だから、クリスマスのことを「コレダ」と言うのかもしれませんね。
もちろん、豚肉は年中お肉屋さんやスーパーマーケットで売られていますし、リゾート地や音楽などの野外イベントでも、子羊の丸焼きと並んで子豚の丸焼きを目にします。その中でコレダで食べる豚肉は特別な意味を持っており、毎年ニュースで必ず取り上げられるのです。
ブルガリアでは、1年の早い時期に子豚を市場で買い求め、庭の片隅に豚舎を作って飼育します。家族の残飯や野菜の切れ端などの生ごみをキレイに食べてくれますが、最近はそういったものだけでは、おいしく丸々と太ってはくれないそうで、配合飼料なども与えられているそうです。屠殺は専門業者によって行われるので、電話で予約して来てもらい、自宅の庭で解体までやってもらえます。
日本人の私としては「一年庭で飼った豚をお肉にしちゃうのはちょっとかわいそうじゃない?」と考えてしまいますが、この気持ちに同意してくれるのは小さな子供たちだけ・・・ 「うん、かわいそう。だから殺されるときは目をつぶって耳をふさぐの!」と話してくれますが、少し大きくなると、「どうして?だっておいしいじゃない!」と、ずいぶんあっさりしています。大人たちにとって、この作業は一大イベント!毛をバーナーであぶって焼き切ってから解体し、おすそ分け、その場で食べる分の料理、そして保存食分のとりわけがはじまります。
鼻の先からしっぽ、脂身、骨さらには内臓もほとんど捨てるところのない豚!そして確かにこの時期の豚肉は油の旨味が増してとてもおいしいんですよ!