ブルガリアには複数の山脈があります。一つは、隣国のセルビアから連なり北部を縦断しているバルカン山脈。ブルガリア語では、“古い山”という意味の「スタラ・プラニナ」(Стала планина/Stala planina)と呼ばれています。その他に、リラ山脈とピリン山脈、ロドピ山脈があり、これらはすべて南西部に位置しています。私が住んでいるブラゴエフグラッドは、リラ山脈とピリン山脈の間のふもとにある町で、山はとても身近な存在です。山のリゾート地として開発されている、ほかの小さな町へのアクセス拠点にもなっています。
夏のある日、街では連日38℃を超える猛暑が続く中、友人と山登りを計画しました。ブラゴエフグラッドから車で1時間弱のスタート地点から、山小屋「マケドニア」(х. Македония/h. Makedonia)までの登山ルートは、片道約3時間のコース。日帰りで登ることができます。街とは違う涼しさの中、山のさまざまな花を観賞しつつ、ひとけのない豊かな自然を存分に楽しむことができました。山の上は、夏でも雪が所々残っているようなところもあるので、寒さにも対処できるような服装をすることをお勧めします。
国立公園内にあるブルガリアの山小屋には、夏の間、管理人がいます。食堂やトイレもあり、誰でも泊まることができます。山好きな人たちは、多くの装備を持って何日もかけて山脈を歩きまわり、山脈内に点在する山小屋をまわりつつ、外でキャンプをしてトレッキングを楽しむそうです。一方で、休憩するだけ、自分で持ってきた食事を楽しむだけ、トイレを使用するだけという人たちも、山小屋を使えます。テントを持っていない人や、キャンプは不要という人でも、気軽に山登りができるようになっています。
今回訪れた山小屋「マケドニア」からは、“小さい熊”という意味の、「マルク・メチ・ヴルフ」(Малък Мечи връх /Malak Mechi Vruh)2474メートルや、“大きい熊”という意味の「ゴリャム・メチ・ヴルフ」(Голям Мечи връх /Golyam Mechi Vruh)2618メートルに挑戦するコースが人気です。私たちは、“小さい熊”の方に登り、上からは遠くリラ山脈の山々を望むことができました。標高が高くなると太陽の光が強いので、山頂に行くまでのルートに日陰で休憩するところがなさそうな“大きい熊”の方は諦めました。次回挑戦してみたいです!